映画『グレイテスト・ショーマン』感想(ネタバレ無しめ)
話題のグレイテスト・ショーマンをようやく観ることができたので感想を。〔作品のテーマに関する個人的な見解(予告編から想像できるレベルのざっくりとしたもの)は書いてるけどストーリーの詳細なネタバレはしてないはず。何も前情報を入れたくない人は映画を観てからの方がいいかも〕
まず始まり方からして持っていかれてしまった。
開始5分でなんかしらんけど泣いてた。
その後も蛇口を閉め忘れてちょっとだけ水が流れ続けてるみたいな感じで謎に泣いてる時間の割合が多かったな。
まぁつまり自分の何かしらの琴線に触れる作品だったということだと思う。
ところで主演のヒュージャックマンはどうしてあんなにあのショーの舞台に映える容姿なんだろうか。あの衣装であの舞台に立つだけで絵になるしワクワクする。見た目も重要だよなぁとあらためて思った。
…みたいな話はさておき。
この作品の評価が分かれるのはミュージカルということやその曲を好きになれるかっていうのももちろんあるだろうけど、結構ストーリーの構成について言及されていることが多いみたい。
たしかに言わんとすることもすごくわかる。
ストーリーはそんなに目新しいものじゃないし、先が読めると言えば読める。シンプルだし、丁寧に背景が描かれてる訳じゃない。展開も早いし、都合良すぎ、一面だけを描きすぎ、と言われるとまぁそうかもしれないと思う。
だからと言って「曲だけは良かったよね」で終わるにはちょっと勿体無い作品のように個人的には思った。
この作品には大きく3つのテーマがあるように思う。
まず中心に『エンターテインメント』というテーマ。
これはP.T.バーナムというショービジネスの原点を築いたプロモーターの実話からインスピレーションを得て作られた作品ということもあって全面に描かれている。
そして『個性』というテーマ。
こちらはミュージカルパートの軸となり描かれている。
最後に自分の夢を追うことも含めた、『大切なものは何か』というテーマ。
これはストーリーの軸。その中では人間が陥りやすい罠についても触れている。
他にも色々細かく言うとあると思うけど、例えばこの3つだとして、そういった全体を見ると絶妙なバランスでデザインされている素晴らしい作品だと僕は思った。
ただもしストーリーだけに着目すると、内容が薄く感じてしまう気もする。全然そこを深く掘ってないから。
でもそこは難しい部分でもあるよなー。全部を盛り込むことはできない訳やし…と思うと僕はあれで良かったと思ったんやけど。
ストーリーっていうのはある程度頭で理解しないといけない要素だと思う。
もちろんそこには音楽や演出や演技等も大きく関わってくるけど、まずはこうなってこんなことがあってこうなりましたっていう流れは頭を使って理解している。理解できないと何が起こってるかわからない。
だからそこで引っかかる部分があると腑に落ちない感じになるのもよくわかる。
(個人的にはストーリーで背景が詳細に描かれていなくても勝手に補完して作り手が意図していないかもしれない勝手な理由で感動できてしまうのでその辺はちょろすぎてあまり一般的ではないのかもしれない)
対して歌やダンスは必ずしも理解を必要としない。
それを歌っている背景や歌詞も大きく関わってるしもちろん重要なんやけど、例えそれをぼんやりとしか掴んでいなくても有無を言わさず感じさせられてしまうということが実際にある。
そういう部分に関しては圧倒的だったんじゃないかと。もちろん好みはあるけどね。
映画は無数にあるし、ミュージカルもまぁある。だけどあぁいうタイプのショーを見られる機会って案外少ないと思うから。そういうのが好きな自分にとっては単純にそれが作品として形になって残るということが嬉しかった。
そしてそういった色々な要素が合わさってできているエンターテインメントの持つ力に僕は魅了されてしまっている。そういった素晴らしい作品を作っている人たちのことを尊敬しているし、そういう作品に出会えることに感動している。
例えば自分が作品を作る側だったとして。
今自分が感じているようなものを人に感じてもらいたいというゴールがあったとしても、もはやどこから手をつけていいかわからない。
そりゃあれを見た後だったら何とでも言える。もっとこうした方がいいっていうのも出てくるかもしれない。だけど一からこの感情を引き出すために何の要素があればいいのかっていうのは想像以上に難しいと思うのよ。人によって感じることは違うし計算通りに感じさせるなんてことはできない訳で。
それに自分は思ったことを思ったまま言葉にすることぐらいしかできないから創作のストーリーで人の心を動かすことができるのはすごいと思う。
僕ができないことを誰かがやってくれているおかげで僕はそれを体験することができる。
クオリティとかもあるけど、その人がその人の持っている物を最大限に発揮しているという部分にも人は心を動かされるんじゃないかとか思ったりする。
だから僕は僕のできることをやろうとあらためて思いましたよ。
他の誰でもなく"自分として生きる"ということにパワーをもらえて、エンターテインメントがもっと好きになるような作品でした。